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大阪地方裁判所 昭和32年(ワ)289号 判決 1957年4月20日

三和銀行

事実

訴状記載請求原因要旨、訴外滝口合名会社は昭和三〇年一一月二〇日被告会社宛て額面三一万円満期昭和三一年一月三〇日、支払地振出地共大阪市、支払場所株式会社三和銀行心斉橋支店なる約束手形一通を振出し、被告会社は訴外小林勇二へ、右小林は原告へ夫々支払拒絶証書作成の義務を免除して右手形を裏書譲渡し、原告は満期に右手形を支払場所に呈示して支払を求めたが拒絶された。

理由

被告は本訴の却下を求めるので案ずるに、本件記録に徴すると名古屋市中村区小路西通二丁目二六番地を住所とする吉田明を原告としその訴訟代理人Zが昭和三二年一月三〇日本訴を提起したことが明らかである。証拠によれば、原告の住所とする前記所番地は名古屋市中村区内に存在しないこと、同市同区内に広小路西通二丁目二六番地は存在するけれども、同所には吉田明なるものは昭和二七年七月一日以降現に居住していないことが認められる。従つて原告の住所の表示中、小路は広小路の誤りの如何に係りなく他に特段の事情につき主張立証がない限り原告は実存しないものという外はない。然らばZの本件訴訟代理権は原告本人の存在を前提とする以上これを認めることのできないことはいうまでもない。よつて同人が原告の訴訟代理人として提起した本訴は不適法である。

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